海の底

海の底

神Z君に借りてきて読む。予想通り読み始めたら止まらなかった。
塩の街を読んだ時は正直怒ったものですが、空の中、海の底、とこの二作は大絶賛です。
空の中には10点上げても良いけど、これは9+ですな。理由は神Z君も書いているように完全なハッピーは訪れないから。
分量、展開、文章力、どれをとっても現在のジュブナイルシーンでは抜けてるんじゃないかなぁ…。っていうほど読んでないし、そもそもジュブナイルなのかな?


以下ネタバレ感想。嫌な人は読まないように。



まず、序盤が超展開。これは設定導入だから仕方ないとはいえ、「巨大ザリガニ襲来」は余りにもアグレッシブ。
これ、映像化されたときのマヌケさを狙ったんじゃないか、とすら思うぞ。
タイトルから未成年閉鎖空間モノになるのかと思ったら、ちょっと違った。
大まかに言って、警察パートと潜水艦パートに分かれてるわけですが、どっちもずっと鬱屈した話な訳で。
極限状況のえげつなさがそれなりに出てたのではないかと。
あと望ちゃんのエピソードなどは女性にしか書けないんじゃないかなー。潜水艦パートはある意味とてもベタな話と言える。
警察パートは読んでて切ないね。いかに速やかに負けるか、立ち向かえない事をアピールするかに奔走する所は悲しいったらありゃしない。
何個もの場面を同時進行に走らせてドラマを作るのは大好きなのでいいと思うが、正直掲示板パートの役割がいまいち読めん。
なくてもいい、とは言わんが完全に生かしきれてるか、というとそうでもないと思う。
自衛隊が出てきて一瞬で掃討される所が逆に虚しさが出てきてて上手い。災害出動レベルですら一瞬で終わる、っていう規模にするのは普通は出来ないんじゃないかなぁ。この辺の感覚が凄いと僕は思う。



神Z君も言ってるけど「主人公」が誰かと言うとやはり圭介になるんだろうなー。
大変だけど「それまでの自分が嫌いになってしまったから」て所は良くある話だけど、しみじみしたり。


あ、なんだかんだいってオチのシーンで萌えてしまうのは仕方ない。ながたさんはらぶらぶ大好きだから(ノ∀`)